福田ますみ論説(『Hanada』2023年6月号)への疑義―補足(2025年01月02日)

※アンダーラインは星本による。

小川さゆりさんの母親の陳述書。「私が〇〇(さゆり氏のこと―星本補足)のアルバイト代を受け取った時期に関して、十八~二十歳の時との限定がありました。ところが、立憲民主党の会合ではその限定もなくなってしまいました。しかしそうすると、2016年に教習所の教習費二十万円、自動車購入代金約十六万円、(中略)、二〇十七年にアパートを借りた際の家賃等をどのように捻出したのか、説明がつかなくなります」(298頁)。

これは、福田ますみ氏ないし母親が、さゆり氏の主張を曲解しているのではないか。

さゆり氏の説明は、「2015年5月末までは、アルバイト代が現金支給であり、それに対して、母親がバイト先にまでお金を取りにきていたが、その後、口座振り込みに切り替えた(なった)ため、こうした被害を防ぐことができて、お金が貯まり、教習所代や中古車の購入費用を自分で出すことができた」である。

だから、2016年に教習費・中古車費用・アパート家賃をさゆり氏が、自分で出せるようになったことに、不自然さは何もない。

なぜこんな当たり前の説明を福田ますみ氏は、その論説で曲解してしまったのか? 予想が入るが、意図的ではないともし仮定すれば、福田氏の誤謬の理由は「(さゆり氏の高校一年時)2011年7月~2019年までのおよそ五年間、お金を母親にバイト代をすべて、ずっと取られていた、とさゆり氏が主張している」という前提に、福田氏が立っているからだ。

しかし、これは「揚げ足とり」の可能性がある。なぜなら、さゆり氏の「すべて」「全部」「ずっと」は、気持ちが入りすぎた表現であり、不正確つまり例外があった可能性は否定できないからだ。

たとえば、2015年5月以降にも、少しばかり、母親にさゆり氏がお金を渡した事例が、もしかしたらあったかもしれないし、または、時期を気にせずに、ツイッター掲載アンケートでさゆり氏が「~2019年」と時期をうっかり書いたかもしれない。

いずれにしても、2015年6月以降の話をいくら福田氏が述べようが、2015年5月末の前の段階で、母親がさゆり氏のバイト代を取ったことを否定する根拠にはならない

結局は、福田ますみ論説でいう「2022年9月10日ツイッター掲載アンケート」で、「高校1年から卒業後5年間」(つまり2019年まで)と299頁に記載している福田氏の理解が正確であるとの確証がどこにもなく、エビデンスも示されていないので、上記のような「説明がつかなくなる」との根拠は、成立していないのである。

これに反論するのであれば、「卒業後までの5年間」とした福田氏の説明の根拠をエビデンスを付して示してもらうしかない。ぜひ説明を出してほしい。